
「ナンバーポータビリティ」制度のスタートは通信環境のクオリティ維持に大きな影響を与えることが予想された。通信事業者の乗り換えによる新規加入者の増加は、必然的に、サービスエリア内の基地局配置の見直しや、無線装置の能力アップを求めるからだ。その移行を成功させた背景には、システムソリュショーン事業部の存在があった。
1986年入社 専門学校電子工学科卒
無線関係の仕事を志し、日本電気無線サービス(現、NECモバイリング)に入社。無線、ポケベル、携帯電話と移動体通信の発達の歴史を身をもって体験してきた。
1993年入社 工学部電気工学科卒
大学を卒業した93年は、まさに携帯電話がアナログからデジタルへ移行した元年。今後の産業界の成長セクターは移動体通信だと考えNECモバイリングへ入社した。
2006年10月、日本の携帯電話サービスの画期となるできごとがあった。それが「ナンバーポータビリティサービス」の開始である。通信事業者を乗り換えても電話番号が変わらない制度の導入は、通話料やサービス内容による利用者の流動化をもたらした。それは各通信事業者が展開してきたサービスエリアに地殻変動を迫る大きなできごとだった。
「通信事業者間の競争アイテムとして、サービスエリアの広さが浮上してきました。携帯電話の利用者にとって、“いつでもどこでも快適につながること”は非常に重要なことです。電波が通じにくい“エリアの穴”をなくすことが、通信事業者にとっての急務となったのです」と語るのは、システムソリューション事業部第一システム部で、主に「エリア最適化試験」を担当する佐藤誠だ。
「エリア最適化試験」とは、携帯電話を快適に利用するために、サービスエリア内の基地局が適切に配置・運用されているかどうかを測定・解析する業務だ。全国を3ブロックに分けて、携帯電話のインフラ整備に取り組むシステムソリューション事業部の中で、第一システム部は関東以北のエリアをカバーしている。
「“エリアの穴”をなくすということは、基地局を増やすことに他なりません。各通信事業者の競争は、基地局の数の勝負になったのです。とくにサービスエリアが狭い通信事業者はナンバーポータビリティ移行前に、一気にそれまでの3~4倍のスピードで基地局を増やしたのです。かつてないペースに、第一システム部では総力を挙げて基地局の増局に取り組みました」(佐藤)
新たに基地局をつくる際、ただアンテナを建てて無線装置を設置すれば稼動できるわけではない。基地局を運用できる状態にするためには「現地調整試験」と呼ばれる作業が必ず必要になる。システムソリューション事業部第一システム部のメンバーの中で、こうした「現地調整試験」を担当したのが成田祐人だった。
「無線装置の立ち上げに必要な伝送回路の開通や局データの入力を行うほか、通話・通信の品質を維持するために、電波の出力や周波数の調整を行わなければなりません。つまり基地局ごとにカスタマイズするわけですが、ナンバーポータビリティ移行直前の時期、ピーク時には一週間で200局の『現地調整試験』を行いました。スタッフの確保や作業予定の組み立てには、非常に苦労しましたね」(成田)
ナンバーポータビリティサービスの成功の影には、まさに寝食を忘れて基地局増局に取り組んだNECモバイリングの努力があったのだ。
- 移動体通信インフラ整備の流れ




